CuraanaNow
返事を聞けば「ん」と短い返事をしてレジへ向かい
買い終われば、バールに修理部品にと
雑に詰められた袋を片手で器用に抱えて戻ってくるだろう。
「薬屋は……今すぐ行かなくても良いかもな」
買おうとしていたのは扉をどうにかするための品だが、
当初の予定とは違えど、ここで入手することができた。
これで扉が開くなら、目標は達成だ。
「溶かすやつ以外に要るもんも特に……なかったっけ?」
抱えた袋を一度抱え直して
またきみの手を握りながら、やや自信なさげに聞き返した。
考えるのはやっぱり苦手だ。
in:マーケット
振りほどかれなかった手は繋がれたままだ。
しっかり、けれど君の手が痛まない程度の力で。
「これは金槌…トンカチとか、ハンマーとも言う。
叩いて釘打ちつけたりするやつ。
そっちは……」
一つ一つ、子供が手に取った順に
知っているだけの使い方を説明して。
時々使えそうな品を見繕っては、修理用にと確保していく。
「ん……?それ、バールか」
手に取り、重さや硬度を確認して。
「あー……確か…なんとかの原理…ってやつか。
溶かすより準備も楽そうだし、買って試してみるか」
授業をサボっていたからてこの原理が出てこなかった…
でも説明を聞けばなるほど、と納得し
それも一本、購入予定品に加えて。
手持ちのシザイの量と合計の値段を、やや時間をかけて暗算し
「ん、足りそう」と頷いた。
「他に何か気になるもんあるか?」
特になければ、そのままお会計に向かってしまうだろう。
in:マーケット
「人多いし、はぐれるかもしれないだろ」
…そんなすぐはぐれそうな程ではないが。
いけしゃあしゃあとそう言い返し。
「あー…危ねぇもんな…。
んじゃ先にあっち行くか」
頷き、工具店へと入っていく。
棚には金槌や鋸、釘抜…と様々な工具が並び。
少し奥には小型の斧なんかも置かれているだろう。
別の棚からは、やや薬品くさい匂いがする。
塗装用のスプレーやペンキ、マシンオイルなんかもあるようだ。
店主は来客に気付き一度入口を見たが、
金のなさそうな子供二人に舌打ちして作業に戻っていく。
…追いだしたり、怒鳴りつけたりする気はないらしい。
「ノコギリ…は刃入れる隙間がねぇか。
他に何か使えそうなのは…」
in:マーケット
――ぼろ衣を羽織った子供の手を引き、店の立ち並ぶ通りへ。
露店に視線を送り、店の看板を読み……少し考え。
「薬屋…とか探せば良いのか…?
多分あっちの店がそうだと思う」
「あっちは工具とか売ってる店っぽい。
使えるやつがあるかわかんねぇけど…一応」
と二つほど店を指差した。
どっちに行くかは任せる気らしい。
in:マーケット
----------
in:マーケット
露店を順に眺め、店に入り。
時々何かを買っては、残ったシザイの量を確認する。
必要な物は多いが、シザイはそう多くない。
食費は削れないから、あと使えるのは……
……やや時間をかけて暗算を終え。
また別の店へと歩き始めた。
in:マーケット
酒場の奥で皿洗いの仕事をしている。
騒がしかったり静かだったり、色んな日があるが
少年は変わらず、黙々と作業をするだけだ。
in:酒場
店の奥でバイトしている。
寒くなってきたので皿洗いの水が冷たい。
in:酒場
「……言ったろ、無理に付き合わせてたんだ。
俺が居ないほうが、あいつは安全だよ。
だからもう組まない」
効率無視の、感情一辺倒な回答が返ってきた。
シザイを安全に、効率的に稼ぐよりも
少年にはそちらの方が重要だったのだろう。
「まあ失敗したら別の奴呼べばいいしな……
呼ばれる方からしたらたまったもんじゃねぇけど。
おー、それだそれ。 ほんと詳しいなお前。
太陽って性格でもねぇから、よく言われたんだよ」
名前自体は嫌いじゃないけどな、と付け足して。
「わかってる、もうヘマはしない。
そっちも…心配する程弱かねーだろうけど、気つけろよ。
またな、ミオ」
出口から外へ出て、振り返って君に小さく手を振り。
少年はそのまま治療所へ歩いて行ったことだろう。
in:クラアナ内部
「マジで遠慮しねぇのな……未練は、あるけど
…言っても仕方ねぇだろ。 もう別れたんだから」
こいつ遠慮無さ過ぎてその内誰かに怒られるんじゃないか??
なんて心配を密かに抱きつつ、そう言って溜息を吐いた。
「小難しそうで近付いたこと無かったけど
あそこ異世界人も調べてたのか……
売れるくらい知識がありゃ、シザイ稼ぎになったかもなぁ。
…転送に事故なんてあんのか? ここの技術、たまに適当だな…
おー、よく似合ってねぇ名前だって言われるよ」
こちらに来て、名前の意味が通じなくなってからは
一度も言われたことはないが。
「おう、気を付けるよ。
今変なのに絡まれたらまあまあ死ぬしな……
動くのは慣れてきたし、もう本当に平気だ」
支えにしていた壁から手を放す。
もうさっきのように転びかけることはないだろう。
たまに若干ぐらつくのは見逃して欲しい。
in:クラアナ内部
「お前遠慮ねぇな……いいけどよ…
……喧嘩はしなかった、円満解消だ。
元々、俺が無理に付き合わせてたんだしな…」
……言葉にしてて少し落ち込んできた。
相談する相手も碌に居なかった為か
一度口を開けば案外素直にそう話して。
「研究って……なんか上の方にあるトコでか?
へぇ、んな調べて何か良いことあんのかね…
……そういや俺、いつこっち来たんだっけな。
カレンダーもねぇから、あんま覚えてねぇや。
ん、俺は陽だ。 よろしくなミオ」
上の方、とは研究区画のことだろう。
異世界人を調べてどうしたいのかは、少年にはよくわからないが
君が楽しそうなら、話すのもそう吝かではなさそうだ。
「お? マジだ、出口こんなとこにあったんだな…
ありがとな、ミオ。 お陰で助かった」
in:クラアナ内部
君が納得したような反応を返せば
良かった、上手く誤魔化せた…と息を吐く。
けれど続いた言葉を聞けば
また視線を彷徨わせて言いづらそうに。
「あー………まあ、組んでる奴は…居た。
……一人で来たこと、殆ど無かったから
不意っつーか……まあ単に力不足なんだろうな。
……異世界人、珍しいのか?
そういや俺も知り合いに居ねぇや…」
多い訳でもない知り合い達を思い出して。
もしかしたら、話題に出ないから
聞かなかっただけかもしれないけれど。
「おー、よく知ってんな。
俺んトコにもあった言葉だ、懐かしい。
お前ほんとに詳しいんだな」
礼はいらない、と言われてまた少し驚く。
こちらに来て以来、無償の親切は珍しかったから。
良い奴だなぁ、なんて考えながら後に続く。
丁度階層の境目だったので
出口はそれなりにすぐ近くに見つかるはずだ。
in:クラアナ内部
「あ……いや、なんでもない。
……ちょっと寝ぼけてたんだ」
少年は嘘が得意ではない。
頭の回っていない今は尚更わかりやすいだろう。
君から露骨に視線を逸らしている。
「超常か……見たことねぇや。
あんま色んな奴と組むこともねぇし。
殴る以外にも戦い方あんだな……
ん、おう。 異世界から来たよ。
だからこっちのことはあんま詳しくね……
お、おう……いや、あれ倒せんなら十分強ぇよ、うん」
勢いに押されまくりだ。
律儀にも喋られた分喋り返そうとするが
ぽんぽん繰り出される言葉に押し負けている。
「っ、悪い……余計手間かけるな…
シザイはあんま持ってねぇけど、
礼はなんか、用意するから」
相変わらずマシンガントークに押されつつ、
ぐいぐいと引っ張られれば
少年はふらふらと付いてくるだろう。
血塗れなので絵面がちょっとホラーだ。
in:クラアナ内部
「……お、おはよう……」
その勢いに押されるように、頷きながら挨拶を返して。
一瞬だけ、何かを探すように周囲を見たが
すぐに頭を振って視線を君に戻す。
「魔法……? そういうのもあるのか、この世界…
悪ィ、助かった。 …って……
……お前強いんだな……」
魔法という単語に僅かに目を見開いて、
指差された方を見てぱちぱちと瞬き。
無表情な少年だが、どちらにも驚いているようだ。
「ん………平気。
さっきまでより、大分マシだ。
外までなら自分で行ける……、っ」
傷は塞がったとはいえ、頭部を強打している。
治療によって動けるようにはなったものの
未だすべての不調が消えたわけではない。
言っている端から貧血による立ち眩みを起こし
ぐら、と揺れて壁に手をついた。
in:クラアナ内部
やけに明るい声だ、子供なのだろうか?
こちらに来てからはあまり聞かない類の声だ。
聞き覚えもないのに、妙に懐かしくなった。
「……っ……」
僅かに開いていた視界に光が映って
反射的に目を閉じる。
キカイの治療とも違う、不思議な感覚。
引いていく痛みに小さく息を零し
今度こそ、ふらつきながら起き上った。
「………今の光は…
……お前が助けてくれたのか?
ここに居たキカイは……」
目に付いた血を擦って君を見る。
頭部の傷以外は無事だったようで、
傷も塞がった今、貧血以外には
目立った不調はなさそうだ。
in:クラアナ内部
妙に目が開きづらいし、頭がガンガンと痛む。
何でこうなっていたのか、痛む頭のせいで
思考も碌に纏まらない。
聞こえてくる声は、知らない奴、だと思う。
治療、動けない、殺される……
言葉の意味はわかるはずなのに
回らない頭は簡単な答えもすぐには出せず
少しだけ悩むような間が空いて。
「……死ぬ、のは こ まる」
霞のように、消えかけた声で
少年はそう答えた。
in:クラアナ内部
近付いてみれば僅かに呼吸しているのがわかる。
頭部からの出血は激しく
傷もそれなりに深そうだが、まだ死んではいないらしい。
今まさに追撃しようとしていたキカイを
あなたが潰したお陰だろう。
「…………ぁ…」
声に反応し、ぴくりと指先が動いた。
薄らと意識も取り戻したらしく
起き上ろうとする仕草も見せるだろう。
流石に力が入らないのか、
またべしゃりと地面へ倒れ込んだが。
in:クラアナ内部
潜り始めてどれ程か
奥へ進む道を見つけて、踏み込んで
それが多分、良くなかった。
一人で穴へ潜った少年は
キカイに追い詰められ、逃げ道を失っていた。
「…………くそっ…」
この間と同じだ。
キカイの巨体
振り上げられる腕
倒せるだけの力はなくて。
でも今は、死なせたくない子供は居ない。
少しだけ安堵した。
良かった、俺が倒れてもあいつが死ぬ訳じゃない。
だから 何も問題はない。
風を切る音がする。
振り下ろされた腕が迫ってきて
頭上に暗い影が落ちる。
負けるのは悔しくて、怪我をするのは痛くて
目的を果たせないのは嫌で
でも、死ぬこと自体は、別に怖くなかった。
昔からずっと。
「 ……―― 、 」
小さな呟きは誰にも届かず。
鈍い音が頭に響いて
少年の意識は、そこで途切れた。
in:クラアナ内部
潜り始めてどれ程か
奥へ進む道を見つけて、踏み込んで
それが多分、良くなかった。
一人で穴へ潜った少年は
キカイに追い詰められ、逃げ道を失っていた。
「…………くそっ…」
この間と同じだ。
キカイの巨体
振り上げられる腕
倒せるだけの力はなくて。
でも今は、死なせたくない子供は居ない。
少しだけ安堵した。
良かった、俺が倒れてもあいつが死ぬ訳じゃない。
だから 何も問題はない。
風を切る音がする。
振り下ろされた腕が迫ってきて
頭上に暗い影が落ちる。
負けるのは悔しくて、怪我をするのは痛くて
目的を果たせないのは嫌で
でも、死ぬこと自体は、別に怖くなかった。
昔からずっと。
「 ……―― 、 」
小さな呟きは誰にも届かず。
鈍い音が頭に響いて
少年の意識は、そこで途切れた。
in:クラアナ内部
「…………行くか」
クラアナの入り口前。
鞄を背負った少年が、小さな溜息をひとつ吐いた。
いつも共に赴く子供の姿はなく
辺りに居る誰かに、声をかけて誘うでもなく。
ひとりきりで、歩き出して
アナの中へと向かって行くだろう。
in:クラアナ付近
七峰 陽(ななみね よう)
無表情な子供。
喧嘩っ早くて短気で愛想なし。
典型的な不良少年。
別の世界で暮らしていたが、ある日突然クラアナへ迷い込んだ。
出来るだけ整った生活を送るため、シザイ集めにも積極的。
最近は
物乞いの少年とよく一緒にクラアナを探索している。
猫がとても好き。
猫からも好かれやすい。
時々酒場の奥で皿洗いのバイトをしている。
こちらに来たのがいつだったか、どんな状況だったか。
詳しくは思い出せない。こちらに来てからの傷は全て綺麗に治っている。元から付いていた傷跡以外は。旧:全体図
検査着
新規:全体図
PL向け
置きレス亀返信多発。
のんびりお付き合いください。
交流やメッセは歓迎です。
BL/R-18/R-18G 〇
HL/スカ/虫 △
暴力などはフリーですが、設定上殺害まで行くとちょっと困るので
死なない程度の暴力にして頂けると助かります。
(センシティブロールの方はうちよそ相手と流れによっては……レベルなので
それ目的で来られても断る場合が大半だと思われます)
嫌だなと思ったら逃げます。お許しください。
ログ公開は悪意が無ければフリー。