CuraanaNow
「……え、ええ~……?
え、でも来たばっかりだから………」
もう少し色々と見て周りたい、なんて呑気な言葉を口許で転がした。
少年の笑顔に、向けられた覚えのない圧力を感じて口ごもる。
あれだけ帰りたくて、深みを目指していたのに。
帰れる手段を求めて、深みへと踏み入れたのに。
その一切は、もうこの女の中には無い。断言する司祭の言葉に唱えたい異は多いが
それでも、どう言ったものか悩んで口を閉じる。
だから、少年に腕を引かれるまま
記憶にも無い
へと足を向ける。
in:クラアナ付近
「あら?……プリースト・キシマ?!
あれ、なんでこんなところに……」
目の前に現れた少年に、まばたきをひとつふたつ。
腕を掴まれた理由も、その言葉も、
今のこの女にとっては、判断に困るもので。
「四ヶ月……?
えっ、でも私今さっきここ来たばっかりですけど?!
というか他ならぬあなたに送り出されて来たんですけど………
ジョークにしては面白く無いですけど、
え、もしかしてマジです?」
in:クラアナ付近
さて、その後はのんびりしたものだ。
かつてのように無鉄砲に行き来を繰り返す訳ではなく、
かつてのようにその深みに固執する訳でもなく、
かつてのように大量のシザイを持って帰って来る訳でもなく、
少し様子を見ただけらしい潜行は、間もなく終わって戻って来て
いつも座らない場所に腰を下ろして、周囲の様子を軽く窺う。
目があった気がした知らない男の人には、
にこやかにただ軽く手だけ振ってみて
「……あっ、そうだ。
折角来たんですしエデンの中も探索して
回らないと勿体ないですよね~!!」
ふと思いついた様に声に出して、立ち上がる。
in:クラアナ付近
「此処がクラアナですか~~、
テーマパークに来たみたいですね~~!!」
かつての焦燥も強さへの執着も、
まるで失くした女が、呑気に元気に言う。
──なに、この地では珍しくもない
記憶を失くした上での複製だ。
ただ、今までは幾度も記憶を保ったまま複製されてたはずの女は、
ここにきてはじめて、記憶を失った状態で戻って来た。
────深層に消えた身体が異世界に至って、ナノマシンの反応が途絶えた故の複製なのだろうか。
それとも、都合の悪い深層の記憶は、遺体ごと葬られてしまったのだろうか。
その真実は、知る由もあるまい。
in:クラアナ付近
──その姿がクラアナの中に消えて、早一ヶ月程。
奇抜なシスター服を着た女は、ふらりとクラアナ付近へと訪れる。
慣れない場所に、まるで、初めて来たかのように。
きょろきょろと辺りを見渡しては、入り口をじっと見つめて。
in:クラアナ付近
───がしゃん
in:クラアナ内部
──そうして、足を踏み出していく。
誰も帰ってこない深淵へ。
この二人の姿がまたまみえる事があるのかは
……神のみぞ知る、未来のことだ。
in:クラアナ内部
「……さようなら、エデン。
願わくばこの地に、もう私が生まれないことを。」
約束ごとは全て、いつか風化して消えていく。
全て水に流して、流れて行くまでだ。
……ただひとつだけ、ひとりにだけ、メッセージを送って。
「……では、行きましょうか。」
深淵を、覗きに行こう。
in:クラアナ内部
「……………なんて、
言っても、仕方が無い。
気にしないでください。
……あなたをこの賭けに巻き込むのが、怖いだけです。」
口走った言葉を掻き消そうと、息を吐く。
頭を押さえた手がカリカリと掻いて、下ろして、
それから、手を差し出した。
「……行きましょう、一緒に」
in:クラアナ内部
「…………、それは、
私は、嬉しいですが……」
……同行を望まれる可能性は、考えなかった訳ではない。
そもそも、共にキカイの支配を逃れて
深くに共に潜った、共犯者だったのだ。
想像は出来た事であったが、
つう、と。頬を汗が伝う。
「……………その先は、」
「100層から先は」
「……異世界になんか、行けないかも知れません。
どこにも行ける道はなくて、
地上に帰る事も出来ないかも知れません。
………90層よりずっと濃い汚染があって、
踏み込んだら死んでしまうかも知れない。
80層の様に空間が歪曲していて、それに、吞み込まれるかも……」
自分が否定したい可能性を、口にする。
そうではない可能性に賭けて先を望んでいる口が、だ。
「…………、」
▼
in:クラアナ内部
ゆるりと振り返っては、あなたを見て
視線を合わせるように、少し身を屈めて。
「…………一度戻った方が良いでしょう。
名前を考えて、伝えなきゃいけない人も居るんでしょう?
そこまで、私と命運を共にする必要もありません」
in:クラアナ内部
「…………私は」
「行きますよ。
ずっと、帰りたかった。
行きたかった、帰りたかった、戻りたかった、
そのために、
そのため、だったから」
ひとつの茶化しもなく、
どこか切羽詰まったような、言葉の羅列。
軽く自分の頭に触れながら、歩いて。
ただ、けれど、一度立ち止まって。
「…………あなたは、」
▼
in:クラアナ内部
「………………、」
終わった。
先に進める。
その行く手を、阻むものがない。
安堵も、緊張が解けた気もありながらも、
ワイキョクを突破した時の様な歓喜を表すでは、なく。
女はそのまま、ふら、と先へと足を進める。
その先に、その奥に、もっと深くへ。
in:クラアナ内部
「……………」
────最期。それと、目が合った。
ニンゲンの様な形をした、それと。
「……。」
「………………。」
それが沈んで行く姿を、またその身が起こされないのを、確かめて。
その先にあるのは、次に続く階段だ。
「…………。……終わっ、た?」
少し、呆けた様な声が
ゆっくりと体勢を臨戦態勢から、戻して。
in:クラアナ内部
──さて、90層。
立ち塞がる汚染の根源たる巨体に、対峙する。
此方は前衛に自分と、後衛に友人と。
準備を整え計算をし、勝算が確かにある事を確信しながら。
ひとつの欠損も死に繋がるのだから、どこまでも慎重に。
ミシリと鳴らして積み立てた残骸を壁代わりに、
相手の行動をじっくり見極めて回避をし、
喰らえる攻撃は喰らい、致命な攻撃は着実に避けていく。
後ろの友人に攻撃の手が届かない様に、
確実にそれらを見極めて、受け止めて。
さあ、それに引導を渡すのは自分ではなく。
in:クラアナ内部
クラアナから戻って来ては、
その姿を見止めて
「あら」
其れ以上特に言う事は無く、それに追従して行った。
in:クラアナ付近
クラアナから戻って来ては、ふとその姿を見止めて
「……あら。
今日もチップの方は散々で?」
in:クラアナ付近
「……さてと」
また夕方にふらふら戻って来て、
クラアナに向かって行く。
「では、ご安全に。行って来ます」
in:クラアナ付近
「………あー、これは……。」
薬を水で流し込み、
先程まで押さえていた辺りの頭を軽く撫でては、溜息をひとつ。
流石に飲んですぐに効く訳は無い以上、プラシーボ効果もあるだろうが
しばらく苛んでた頭痛が消えた気がして、ひとり頷いて。
上層の方へと戻って行くのだった。
in:アンダーボード
「………あー、これは……。」
薬を水で流し込み、
先程まで押さえていた辺りの頭を軽く撫でては、溜息をひとつ。
流石に飲んですぐに効く訳は無い以上、プラシーボ効果もあるだろうが
しばらく苛んでた頭痛が消えた気がして、ひとり頷いて。
上層の方へと戻って行くのだった。
in:アンダーボード
◆キディア・ケルートゥス(Kidia Cherutouth)
とある異世界でとある神を信仰しているシスター。
水色の長い長髪に、橙色の瞳。豊満な身体と奇抜なシスター服。
拾ったある少年と旅をしている。破天荒な所業が多い。
知り合いの紹介で利用した異世界旅行メゾットが失敗してここに辿り着いた。
帰り方も分からない、困りましたね~!
主な出没場所は[宗教施設][酒場][クラアナ付近]他
Town1区画に住居を買っているが、あんまり使っていない。
彼女にあるのは、力への執着。変化への固執。
力を求め続けた彼女は、かつての深層探索者だ。
10/7までの到達層は【4682】層。
1/13までの到達階層は【266】層。
PL:ルルクス
1/13、撤退しました!
Ωは新規キャラになるかするかと思います~~~お疲れ様でした!有難う御座いました!