CuraanaNow
「……ん、ありがと」
子どもはひめの手を掴み、とたとたと着いていくだろう。
子どもの手は、ヒトのそれよりも冷たく感じるだろう。
in:クラアナ付近
「……からだをしっかりとやすめられるばしょ?
どんなばしょなんだろ……
そんなところがここにあるの?」
子どもは手で頬を抑えている。
驚きの連続だ。
「じゃあ……しっかりやすんでみたい、かも。
キカイとたたかってつかれちゃったから」
in:クラアナ付近
「ほんと?
じゃあ、おしえてくれる?
ブラックボードのそと、あんまりしらなかったから」
子どもはびっくりした顔でひめを見て、お願いをする。
in:クラアナ付近
「じゃあ、ひめで。
よろしく、ひめ」
子どもは姫と呼ばれるものがどういうものかを知らない。
だから、わかりやすい方を選んだのだろう。
「あのね、たんさくしゃになって、はじめてのおしごと、おわったところなんだけど、
かえるばしょない。
だから、いろいろしってそうなヒトいないかなって」
in:クラアナ付近
「ん、はじめまして、だとおもう。
code:171ってよばれてた。イナイって、呼んで」
子どもはコクコクと頷いて、自己紹介をした。
子どもからは、人のものともキカイのものとも言えないような匂いがした。
まるで、花のような匂いだ。
「あなたはなんていうの?」
in:クラアナ付近
子どもは美しい佇まいのニンゲンを見かけると、じーっと見つめながら近づいてくる。
「おー、きれい。
おはなみたい。
あなたも、どーぎょーしゃ?」
子どもは片手にチョキチョキから失敬したのであろう鋏の刃を持っていた。
探索者、それも新米のようだ。
in:クラアナ付近
「どーぎょーしゃ、すくない。
誰かいるかな?」
子どもがキョロキョロと歩き回っている様子。
in:クラアナ付近
「……ただいま。キカイさんにおみやげ。
あとこの棒かっこいいね」
in:クラアナ付近
「とりあえず……頑張ろ」
in:クラアナ付近
「……ここが、クラアナ。
シザイを集めて……それで、持ち帰る」
in:待合所
ある場所に、小さな子どもがひとりで生きていました。
子どもの生存価値は、まるで使い捨ての道具のようなもの。
でも、生を受け、キカイによる教育を受けた子どもはいつしか決めるのです。
やがて、小さな子どもは生きていくためにキカイにシザイを届ける仕事をはじめました。