CuraanaNow
「はぁー…酒にシザイ使い過ぎた。
今日はこれでガマンすっかぁ……
……メープルにチョコ?
なんだよ甘いモンばっかじゃん
ゲル……… ……やっぱ今日いいわ」
ラインナップを見てなんだか食欲がうせてしまったよう。
がっくり肩を落としながら提供所前を去っていった。
in:食料提供所
カウンターの端に男が腰掛ける。
「さぁーて
久々のまともな飯だ。何食おっかな♥
とりあえず酒と食前の一服…」
適当な安酒を頼みながら買ったばかりのタバコを取り出し
はたと固まる。
「あ゛っ、火種ねぇんだった…
…マスター、マッチを一本…は?有料?
じゃ、いい……」
しおしおしながらとりあえず出された酒に口を付けた。
in:酒場
「ここだと希少なのかねぇ
娯楽区画にも探しゃありそうなもんだけど」
生存価値が下がるとかいって製造禁止されてたり
それでも吸いたい奴が陰でこそこそ栽培してたり。
「あるんだ、人寄りとか。詳しくないんだけどさ」
確かにもっと獣っぽいやつは獣っぽかったような。
あなたの耳に目を向けつつ、どうやら煙草が吸い終わったらしい。
足元にぽいして踏みつける。
「あー、満ちた満ちた。
そんじゃぁまた。火ぃありがとさん。」
なんて社交辞令を言えば男はぶらりとどこぞへ歩いて行っただろう。
in:アンダーボード
「あー、うん?あんま他じゃ入手しにくいみたいね
の割にはなっかなか見かけなかったけど
こんだけ求められてんだ
常に置いておけってんだよなぁ?」
馬鹿高いなんてのも論外だ。
なんてぶちぶち言いながらも気さくに語り掛け。
それも煙草が残ってる間の暇つぶしだ
「俺の知ってる獣は大抵煙の臭いを嫌がったな
アンタは珍しい」
in:アンダーボード
「気ぃ紛らわすモンがなきゃ生きてけないだろ、人間」
あれも紛らわすもんかなぁ、なんて
ピンクの物を買っていく女たちを眺める。
「…ああ、獣人もか?
そういやこの前もここに居たな、アンタ
この辺の人?」
in:アンダーボード
「どぉも。」
軽い調子で受け取り少ないオイルを消費し煙草の先を燃やす。
じりじりと燻る火が強くなれば
豊かになっていく煙をいっぱいに吸い込んで長く長く吐き出した。
とっても満足気だ。
「はー…ヤニ切れで死ぬかと思ったぁ
いや、悪ぃな。助かった」
ほい、とさらに軽くなったライターをお返しする。
in:アンダーボード
いつぶりの煙だろう。手元にあるのにこれでは生殺し…
なんて思いながら、漂ってくる臭いにふと視線を移し
「…なぁ、そこのダンナ
ちょいと火、恵んでくんねぇ?」
未開封のタバコを手に声をかけた。
in:アンダーボード
「おっ、これこれ
やっと会えたぜ、煙草ちゃん♥」
ふらっとやってきたチンピラ
煙草を購入してご機嫌で出てきた。
「………火がねぇ」
もう暫くお預けだ!
in:アンダーボード
「おっ、忘れモンだ。ラッキー」
上層。
今しがたキカイにばらされた探索者の荷物を漁り始める。
「ちょぉーっと失礼しますよ…っと
なんだ、シザイも煙草もねぇじゃん」
適当に武器や道具だけを拝借し、荷物を蹴り飛ばしてその場を後にした。
in:クラアナ内部
「……はぁー……」
ヤニが恋しい。
漂ってくる煙を眺めつつ息を付く。
酒でも飲みに行こ。
in:アンダーボード
「おっ、煙草入ってんじゃん
らっきぃー…… たっか!!」
手が出ない。しかも甘い奴だ。
柄の悪い男はまたすごすごと店を出ていくのだった。
in:アンダーボード
ぶらりとショップにガラの悪い男がやってくる。
なんだかよくわからない品物をぐるりと物色して作り笑い。
「…なぁ、店員さん
煙がおいし~棒状のあれとか売ってないの?
ほら、火をつけて吸い込む……
今は扱ってない? ああ、そう」
「あ?ふぃぎゅあ?
ナニに使えってんだよ。いらないいらない」
「お菓子?それって気持ちよくなれる感じの…
あ、普通の甘いヤツ?いらないいらない」
結局目当ての物は見つからず
すごすごお店を後にするのだった。
in:アンダーボード
「強く生きろよ!
っと。さぁーて、今日のお勤め終了ォー
酒でも飲みに行くか!」
浅黒い男は晴れやかな顔で、2000ばかしのシザイを抱えて
クラアナ内を後にした。
in:クラアナ内部
光の零れるクラアナの出口。獲得したシザイと足を引きずりながら一人の探索者が帰投を目指していた。
後少し、後少しだ!うわ言のようにそんな事を呟き――ふいに鈍い音がして、光を見ていた視界は突然引っ繰り返った。
「駄目だよォ、最後まで気を抜いちゃ。
帰るまでが遠足ですー…ってな。」
男の声が振って来る。
バラまかれたシザイが拾われて、奪い返そうと伸ばした手が無遠慮に踏みつけられた。
「なんだよ、これっぽっちか……アンタ、ビギナー?
あーあ、なんだ。足とか汚染されてんじゃん
サービス受けるシザイも無かったの?」
ふぅんと面白げな声が聞こえれば
捕まれた足がそのままずるずる、暗闇へと運ばれていく。
出口がどんどん遠のいて身体がふわりと宙に浮いた。
崩れた足場、中層への直通ルート。
悲鳴を上げる間も無く、とある探索者の一回目の人生は終わりを告げた。
▶
in:クラアナ内部
くたくたスーツの現代日本からやってきた男
クラアナで出会った大きな女に『コタロー』と名付けられた