CuraanaNow
「結構盛況だな、ここも」
適当に壁にもたれかかって、固形食をがじがじと食む。
「他に食う場所もねーだろうからな」
in:食料提供所
「さー、飯飯」
担いだ資材をがたがたと放り込み、固形化栄養食を受け取る。
がりがりとかみ砕いて、ごくりと細い喉が鳴った。
「………まぁこんなもんだよな」
in:食料提供所
「……生身で帰ってきたのか。気合入ってんな。
おい、さっさと治療しにいけよ」
滴る鉄の匂いに顔をしかめながら、
キカイの残骸を外套に包んで持ち上げる。
「今日生きていけるだけは稼いだ。勤勉さには自信がねぇからな、飯でも食うか」
in:クラアナ付近
「……義体買う時は、生存価値も一緒にかっぱがれるからな。
特に異形のやつ。
購入するのもしねぇのも自由だが、
買って速攻生きる価値なしで叩きだされたくなきゃ、ちゃんと自分の"価値"とにらめっこして決めな」
in:クラアナ付近
「………まぁいいんじゃねえの。
俺は連れてかないけどな。
生身のやつを守って戦えるほど頑丈じゃねえし」
in:クラアナ付近
「死ぬよりゃマシだ。だいたいのことはな」
in:クラアナ付近
「生身でいたかったら、キカイ化してるやつにくっついていきゃいい。
そいつが稼ぐ分のおこぼれをもらって生きる関係ができてるならな」
in:クラアナ付近
「俺も片手片足だ。……ま、根気がありゃ、脚だけでもなんとかなるかもな」
in:クラアナ付近
「生身だろうが機械の身体だろうが、死ぬよりゃましだろうが。
言っとくが、生身の身体でひとり潜るなんざ、ただの自殺だからな」
周囲の声に、いらだたし気な様子で返す。
外套の下の右手と左足は、とても人の者とは思えないごつごつとしたクロームのそれだ。
細く小柄な体に不釣り合いな義肢は、こびり付く鈍色の膿のようだった。
in:クラアナ付近
「チョキチョキだったか。
機械化して飛び回りでもしないと、危なっかしくて戦えたものじゃない」
in:クラアナ付近
「ぶはっ」
クラアナからひとり飛び出してきて、げほげほとせき込む。
片手には、ずたずたに引き裂かれたキカイの残骸が掴まれていた。
「飯と除染代、それと義肢のメンテ。
このくらいありゃ足りるだろ……」
ぜは、と額を拭う。まだ、汗が出る程度には人間の身体だ。
in:クラアナ付近
「奥か。……奥まで行けば、もっと稼げる」
ぱん、と外套にこびり付いた乾いた血を叩き落として、立ち上がる。
「行かなきゃ」
in:クラアナ付近
「……くそ、あの店員め。足元見やがって」
持ち帰ったシザイのほとんどをかっぱがれて、舌打ちをする。
「だが、生きていくにはこれしかねえ」
無骨なクロームに覆われた手足をさする。
小柄で非力な体。クラアナに潜るためには、力が必要だ。
in:クラアナ付近
"エラー"と名乗る14歳程の女性探索者。
小柄な体にふわふわとした癖毛、愛嬌のある顔だちをしているがそれを塗り潰すほどに目つきと態度が悪い。
基本的に拳銃と体術で戦うが、視線を向けるだけで限定的に機械を操作できる妙な能力も持っている。
目先の明日を生きることにやっきになっており、生き汚いが同時に諦観もしている。
それでも生きることをやめられないからこそ、彼女は今日も生きている。
誰かのクローン体。