CuraanaNow
「いっけなーいっ! ちこくちこく~!」
私、からっぽ! どこにでもいる----歳の-の-!
今日もクラアナで大事な探索があるのに…もう! 私ってばバカバカ~!
「いってきまーす!」
朝ごはんのパンを咥えて、いざ! クラアナにしゅっぱーつ!
そして、少女が帰ってくることはなかった。
クラアナは恐ろしいところだ、まともな準備もせずに向かえばザンガイのその一つとなるのも当然のことだろう。
クラアナは今日も黒い闇を滔々と湛え、終わったような世界にぽっかりと開いている。
in:クラアナ付近
「こんにちは」
in:アンダーボード
「ぽえぽえ〜っ☆ からっぽだゆぉ!」
「ふえぇ、いーっぱいとげとげさんあってこわぁい。
からっぽ、ちょっぴり、こわがりさんなの!!」
「……………………」
in:メインボード
——ついぞ、誰にもまつろうことなかった気高き人形は
気高さを抱えたまま、汚濁に呑まれて、果てた
——ついぞ、誰に求められることなかった孤独な人形は
孤独を抱えたまま、四肢が弾け飛んで、死んだ
——ついぞ、誰にも理解される事無かった狂せし人形は
狂気を抱えたまま、全を異形に供して、潰えた
誰の願いも叶えられず
誰の思慕も詰め込めず
からっぽのままの器がひとつ、砂となって崩れた
in:クラアナ内部
深度、500を数えてすこし。
「……けほっ。あ、あー……まだ、大丈夫」
「何かが、あるとしたら」
きっとこの先。
……進む、進む、足を踏み出した先が崩れ落ちてそれに巻き込まれたとしても、もはやその程度では傷の一つも負わなくなった。
そういうものになった。
in:クラアナ内部
「深度334……なにやら恐ろしい怨念を感じるよっ」
「怖いから早く通り過ぎよう……」
in:クラアナ内部
「んゃ、んむ」
人形はまどろむ、無い瞼をもたつかせて喉から曖昧な音を発する。
「…………」
寝言として言えるようなこともないので、ただ静かに眠りの中にいる。
in:就寝施設
「おしゃれな建物だな〜っ」
「ここで寝泊まりできるの? いいないいな」
「もうちょっと余裕ができたら、こういうとこ住みたいなあ」
in:ファッションホテル
「……うーん?」
高速で回るリールをじっと眺めて、適当なところでボタンを押してリールを止める。
絵柄が揃ったらなんかシザイがいっぱい出てくる。
つまりはスロットマシンの前に人形は座り込んでいて、すでにいくらかのシザイは目の前の機械に吸われていた。
「……よくわかんないかも。楽しいって噂だったけど……そこまで?」
ご飯食べにいこーなんて呟いて、その席を開けた。
in:娯楽区画
ふらり、人形は立ち寄って
「――、――、――、――、――、――」
誰かの名前を、延々と呟いていく
「――、――、――、――、――、――」
「ごめんね、巡り合ったのに、弔うこともできなかった」
「せめてね、冥福を……祈らせてほしいな」
「…………」
球体関節の右手と、人の左手をぱちりと合わせて、無い目を瞑った。
in:死亡者掲載所
「ここで……シザイと、ごはんを交換してもらえるんだ」
「……たのもーっ! 日替わり定食ひとつっ」
小さめのレンガのような茶色い塊を投げ渡され、落とさぬように慌ててキャッチする。
「これが……日替わり定食。人間さんの好物だといわれる」
「いただきまーす。……味がしなーい。こんなの好きなんだ? 変なの」
in:食料提供所
「からっぽ~っ」
in:メインボード
「からっぽ~っ」
in:desuana
「私はからっぽです!」
「よろしくお願いしまーす」
in:メインボード
>>ヘルムート
「みぇっ!?」
「そ、そうなの……です? ムズカシイ……」
大げさな動きで驚いた様子の少女の、前髪の向こう、
そこには眼が嵌っていなかった。
つるりとした表情を、他の動きが大きく彩る。
「あの、あのその。教えてくれてありがと……ございますっ」
in:メインボード
「わ、わ。お人がいっぱい……」
「お話してみたいけど。うう~っ、どうやって……」
しばらくまごついてから、恐る恐る声を発する。
「へ、……へーい、そこの兄ちゃん~っ。
ちょいと私と、向こうでイイコトしな~い?」
ボロのような服とも相まって相当に不味い台詞なれど、そのことに気付けるほどの知識は無かった。
in:メインボード
「ほう……ここがタウンね!」
「人間さまがいっぱいだ~っ、すごい、すごいなあ!」
in:メインボード
「んや、んあ。あー、あー。……発声良好、……」
たん、と軽めに跳ねまわり、その四肢を確かめる。
未だ万全にくっついているそれはどこにも不調を認められない。
「ん、ん! ぜんぶ万端、からっぽ、いっきまーすっ!」
「町の方へ!!」
in:クラアナ付近
それは眼の無い人形である。
それは未完の人形である。
如何なる物語も、如何なる感動も、未だ人形は何も持たず。
故に全てをしまいこめる、
からっぽの箱。
どうか、貴方様の色で、音で、心で、物語で。
からっぽの人形を、彩ってくださいませ。
どうか、貴方様の夢で、記憶で、欲望で、願いで。
からっぽの人形を、満たしてくださいませ。これまでのあらすじ
目が覚めたらそこはとーっても深い大穴だった!?
命からがら這い上がってみたら、怖い人に「探索者登録をしないとシゲンとして回収する」なんて言われちゃって大変~!
とりあえず登録してみたけど、これからどうなっちゃうの~~!?将来の夢
たくさんシゲンを集めて、そうしていつか未完成の私を完成させることっ。
誰かに言われたからじゃないよ、ちゃんと自分で考えてもみたの! ……そりゃ、最初は言われたことだったけど!
デスアナの外だったりすること
固定バディなし
お話してくださいませ
オールOKです