CuraanaNow
ぺたぺたぺた
キカイ達と歩く帰り道
in:クラアナ内部
「がらりん
がらりん」
in:ブラックボード
ぺたぺたぺた。
少女のカタチが歩きゆく。帰り道を探して。
in:クラアナ内部
「~♪」
「…… ……。」
in:廃棄区画
*ジーーッ ジーーッ ガチャ*
*ジーーッ ジーーッ ガチャ*
in:クラアナ付近
「~♪」
五時のチャイムが流れていた
in:朽ちかけの通信機
*ジーーッ ガチャ*
*ジジーーーッ ガチャ*
*巨大なキカイがクラアナ付近にやって来ては、封鎖されているのを確認して辺りを歩き始めます*
in:クラアナ付近
*ジーーッ ジジーーーッ*
*一通り、シザイ……かも分からない鉄屑を集め、ゆっくりとした歩みで去っていく*
*廃棄区画に、再び静けさが戻ったのでした*
in:廃棄区画
*カチ……*
*ジーーッ ガチャ*
*小さいからか、機械ではないからか、シザイとしては認識されませんでした。*
*巨大なそれは、再び廃棄区画を歩きます。ゆっくり、牛のように。*
in:廃棄区画
*ジーーッ カチカチカチカチ……*
*赤いレンズが、赤い髪のヒト型を向く。*
*シザイとしての価値を見定めるような異音は、不快感を与えるかもしれません。*
*3mの巨体の左右に括られた背嚢は、歩く度にジャリジャリと音がして。何か金属部品くらいは入っているかもしれませんね。*
in:廃棄区画
*ジーーッ ガチャ*
*ジジーーーッ ガチャ*
*巨大なキカイが、廃棄区画を歩く。シゲンにもならない部品屑を集めて。*
in:廃棄区画
鐘が鳴る事は、もう無いでしょう。
どこまでも伸びた夕暮れ色の道は、いつまでも美しく彩られていました。
in:ブラックボード
クラアナの入り口は、ヒトが減ってすっかり静か。
封鎖されているクラアナからは、たくさんの無機質な足音が……ガシャ、と奥から響いている。
in:クラアナ付近
人知れず、違法探索者がキカイの群れを打ち払うのか。
エデンボードの偉大なるケルビムが全て焼き払うのか。
はたまた、封鎖を破ることなくクラアナに留まるのか。
それは、誰もまだ知らない物語。
夕暮れ色の『帰り道』は、クラアナを賑やかに彩っていた。
in:クラアナ内部
研究区画のどこかの一部、エネルギー研究区画は大慌て。
<封鎖中のクラアナ区画内にキカイの大規模な移動を検知。>
<エネルギー収集量の変動を確認。>
<クラアナ内に環境の変化を確認。>
<エリア封鎖解除後、探索者による現地調査・及び下降負荷チェックを実施してください。>
探索者の退去したクラアナは、未知の変化が起きていた。
in:研究区画
「帰ろう 帰ろう
みんなでお家に帰ろう~
みんなで、楽園に帰ろう~
壊れた無機質な友達。狂ってしまった友達。
……私と、私達と、一緒に帰ろうよ」
in:朽ちかけの通信機
「がらりん がらりん」
5回目の鐘が鳴る。遠く、遠くに、たくさんの無機質な足音を響かせて。
in:ブラックボード
「がらりんがらりん」
鐘が鳴る。帰りたくなるような懐かしさ、郷愁の音色を響かせて。
封鎖されたクラアナの内部は、日々想像もつかない変化をしていた。
in:クラアナ付近
「がらりんがらりん。みんなで歩いて、みんなで帰ろう。
裂いて、噛んで、貫いて。
叩いて、汚して、火をつけて。
みんなで行く道、帰り道。」
郷愁の鐘が鳴る。夕暮れを告げる五時の鐘が鳴る。
誰かが知っているか、誰も知らない封鎖されたクラアナで……汚染されたキカイ達が、『帰り道』を歩き出す。
「行こう!楽園に帰ろう~!」
ヒトの居ないクラアナには、少しずつ変化が起きていた
in:クラアナ内部
「わぁ、長い名前……ラルカ、ラルカだね。
私はパン! パン・クロックだよ。
普段は、ブラックボードとか研究区画に居るから……もしまた会ったら、よろしくね。
それじゃあ……ウサギ探し、頑張って!」
in:エンドボード
異なる世界からアウトサイドへと迷い込んだ、ヒトの文明の産物。
同行するニンゲンは居なくなり、シザイを回収する任務のみを有する。
【五時の鐘】
魔法の靴の無い少女は、ドロシーのように帰ることは出来ないのです。
【帰り道なき子供 < パン・クロック > 】
< 1.知恵なきカカシ >
悪い大人。
嘘をつく大人。
大人が理由も無く近付いては来ないという事を、
この子供はまだ知らなかったのです。
< 2.勇気なきライオン >
帰りたいのに、帰り道は失われて。
終わらない帰り道を歩き続ける子供のカタチ。
でも、一人の道は寂しいから……
誰か、『道連れ』を探すのでした。
< 3.心なきブリキ >
帰らなければならない。
それを動かすのは、そんな叶わぬ執念で。
見た限りそれは人間だけれど。
それは、恐ろしい怪物なのです。
< X.五時の鐘 >
それは、連れ去られ帰れなかった子供の成れの果て。
夕暮れになれば鐘を鳴らして、帰り道を歩きます。
鐘の音色は他の怪物を引き寄せ、そうして帰り道は賑やかになるのです。
いつしか、帰れなかった子供の名前を覚えている者も居なくなり……
それは、『五時の鐘』と呼ばれるようになりました。