CuraanaNow
その日を生きるのに精いっぱいな子供にとって、暦はさしたる意味を持たず。
だけど、年末や新年といった昔の人間が定めた節目……そこでは、普段は見られないようなものも捨てられるらしい……と風のうわさで耳にしたことがあって。
「んー……何か使えそうなものとか、珍しそうなものとか……。」
ブラックボード出身の子供でも訪れることができる、どうしようもないものが積み上げられる廃棄区画。
勿論、何かが見つかるか……と言われれば今のところそうでもなく。
「でも、もっと探したら何か見つかるかも。
……よし、あっちにもいってみよう。」
なんて、ひょいひょいとごみの合間を縫いながらしばらく漁り続けていることだろう。
in:廃棄区画
「確かにね……あくまで出自のヒントになればいいかなとは思ってたけれどさ。」
失った記憶も芋づる式に思い出すかもしれないし、なんて。
だけれども、急ぐことはないしゆっくりと時間をかけていけばいいよ、とか声を掛けたりして。
「だっ……し、仕方ないじゃないか。思わず目で追っちゃうんだから。」
指摘された内容にはあくまで向きになって弁明するのみで、大した反論はできない様子だった。
「……と、ともかく!見せてもらうことを楽しみにしてるから……。
じゃあ、僕は先に上がるね。」
と、そのまま立ち去ろうとした。
in:湯浴み所
「んー……それも何かのきっかけで思い出せたりしないのかな?
一つができたら後のも連鎖的にできるようになる気がするんだけれども。」
なんて単純な考えを口にしつつ。
クロの問いかけにはお湯の熱で上気した肌がより赤くなって。
「えっ……それは……。
……そこまで目を凝らしてないからよくわからないけれど、結構みえそう……って。
そ、そうだ。まだしっかりと踊ってるところを見たことがないから、今度踊ってるところを見たいな!
そうしたらもしかしたらなにか踊りについてわかるかもしれないよ!」
と、話題を反らす様に思い付きでそのような提案を投げかけた。
in:湯浴み所
「ふーん……なんだかよくわからないけれど、そういうものなんだね。」
難しいことはよくわからなかったらしい。
それよりも、先程の記憶の件についての興味があるようで。
「踊り……確かにお祭りとか、儀式とか。そういったものも宗教由来でありそうだもんね。
……あの衣装もなんだ……でも、あの衣装ってたしか……結構薄くなかった?」
あまりしっかりと話したことはないが、かなり透けていたような……と悶々と思い浮かべていた。
in:湯浴み所
「キチン質……って、虫の外骨格みたいな?
確かに見た目とかも奇抜だけれども、そういうのも面白いかも?」
じいっと目を凝らせば見える縫合跡に、思わず見つけた!とリアクションを取ったり。
「うっ……ま、まあまあ。そっちはいいじゃないか。
……って、名前と得意なことぐらいしか覚えてないって……。
なんだろ、記憶喪失?それとも単純なものじゃなくって、異世界からやってきたときになんか消えちゃったとか?」
と、身の上話に興味がある様子。
in:湯浴み所
「あ……そうだったんだ。
見た感じきれいだから……さっぱり気付かなかった。」
腕の摩っているあたりにやや顔を近づけてから、慌てて距離を取って。
いつの間にやら静かになっている湯浴み場の空気に一息落ち着き。
「でもさ、あれぐらい賑やかなのもいい物だよ。
……じゃあ、今はゆっくり慣らすという意味でもこのままゆっくりさせてもらおうかな?
探索のことでも、そうじゃないことでも……もうちょっとお話してみたいしね。」
なんて、初めと比べるとやや落ち着いたのだろうか年相応の笑顔で答えた。
in:湯浴み所
「だね……こうやって生体義肢の選択肢もあるし。
だけど、何度も付けてると適応まで時間がかかりはするけれど。」
適応が難しくなれば機械の義肢にすることも可能ではある。
そう考えると数が少ないであろう人間をとことん有効活用する術が整っているのだなあ、とか考えたり。
「だって……ね?そういうところは合わせようとしたほうがいいのかなって。
……もしかしたら一緒に探索することもあるかもしれないのだし。」
余り理屈が通っていないようにも感じるがそのようなことらしい。
湯気でかすんではいるけれど、その細身をじっと横目で捉えながら。
「……その、クロはどうなの?
綺麗に見えるけれど、やっぱり何度か体の一部を失ったりとかしたり……?」
in:湯浴み所
「リスク管理…………そうだよね。」
その言葉を聞いて思わず自分の右足に手を伸ばす。
この残る縫合跡や、今は消えた胸の傷……それらはあまりにもリスクに対する勉強代としては高すぎたな、と渋い表情。
「そ、そうだよね……この前のこともあって僕も揺らいでたというか。
……でも、折角だしみんなに合わせてみようかな。」
なんて答えて、申し訳程度に隠そうとしていた腕をずらしつつ、視線を改めてクロに向けてみたり。
in:湯浴み所
「生きていければ、深くに潜れなくてもいい……か。」
そうやって黒の言葉を反芻して、しばし口を閉ざす。
その考えの良し悪しを論じるつもりはない……が、過去の自分のことを思い返して。
「……僕もね、最初はそう思ってた。10層まででいいって。
けどさ、何度も潜ってるうちにこの先にはどんなところが待ってるのだろう……って、考えるようになっちゃってさ。」
それで今はさらに深く潜るようになって……なんてどこか遠い目で答えて。
「……や、やっぱりそうなんだ……。
……ということは、僕が恥ずかしがるのは良くないのかな?
変に目立つというか、隠してると逆に気にしちゃう……とか。」
in:湯浴み所
「う、うん……おかげさまで。」
こういう時はおかげさまででよかったっけ、なんて口にしてから思ったがまあそれはそれとして。
「あー……そっか、まだだったんだ。
そうだよね……今は探索で時間も潰せてるし、いろんなことがあるし、それが楽しいけれど。
永久生存権を買ったらそんなことをする必要がなくなって……そうなるとやることもなくて持て余しそうってのは分かるなあ。」
死ぬのとどちらがマシかと言われればそれは悩ましいところではあったが。
「……それにしても、クロもあんまり気にしないタイプ?」
と、やや顔を背けながら尋ねたり。
in:湯浴み所
「…………ふぅ、あれから何度か潜ってはいたけれど。」
縫合跡はさっぱり消えないものの、傷の後遺症はほぼほぼ問題なく。
これ以上無理はできないのだが、今の身分では探索をしないことには生きていくことはできない。
「永久生存権も視野に入れないとな……っと、あれはクロ……だっけ。
……やあ、元気そうだね。それは泳ぎの練習?」
と先客に一応声を掛けて、やや距離を取って湯船につかる。
in:湯浴み所
「クロ、か……よろしくね。」
と笑顔で返事。
ともかく、新しく知り合いが増えてよかったなとのんびりと構えていたところにあることを思い出して。
「……っとと、お風呂から出ようとしてたのにまたお話ししちゃってたんだった。
ごめんね、二人とも。ふやけるといけないから先に上がるね。」
そう告げて脱衣所に向かおうとするだろう。
in:湯浴み所
「なったのかなあ……まあ、ムジーがそれでいいならいいけれど。」
お礼に関してはそこまで期待はしていないが、貰えるものは貰っておこうかなとか考えている様子。
「あ……そうだった。僕はラスカ。
いつからかわからないけれどそう呼ばれてる。」
あとはブラックボードの出身だとか、そんな軽めの自己紹介をした。
in:湯浴み所
「義体を見て心構えって……。
今でこそ見た目は五体満足だけど、つける前の段階が一番大変というかショックだよ。
……あの子もいってるけれど、肉がえぐれて骨まですっぱり切断されてたり、傷口から血だけじゃなくって内臓がこぼれたり……。
そんなの本当にもう二度とごめんだって気持ちになるけれど、それが手術で元通りになって下手したら探索で何度も同じ目に遭うんだからさ。」
ちら、と傷一つない身体を見てまた視線を逸らす。
in:湯浴み所
覗き込む動きにパッとタオルで下半身を隠す動き。
とは言っても、足の縫合した部分ははっきりと見ることができるだろう。
「だ、大丈夫だよ……今のところは。自分の面倒ぐらい自分でみれるさ。」
と口にしたとこころで興味津々な様子に少し困ったような表情を見せて。
「……そんなに見るようなものかなあ……。ちょっと恥ずかしいよ。
それと、まだつけたばかりだからはっきりしてるけれどそのうち傷も消えて色も馴染むらしいってことは言ってたよ。
だからこんなにわかりやすいのは多分今のうち、かな?」
個人差もありそうだけれども、なんて付け加えた。
in:湯浴み所
湯船でゆっくりと静かな時間を過ごして、さて上がろうか……などと考えていた最中に響く扉の音に思わず驚き顔を向けて。
「っ……ムジー……!?」
そのあまりの堂々とした立ち振る舞いにそのままぼんやりと見続けてしまうほど。
「ってそっちにも人が……よかった、変に鼻歌なんて歌わなくて。」
なんて、それどころではないのに呑気なものだった。
in:湯浴み所
「……はあ。」
きょろきょろと人がいないことを確認しながら身体をお湯につけつつ、新たに据え付けられた足を眺める。
元々の肌の色と比べるとやや薄く、接合跡もまだまだ十分に目視することもできた。
ただ、負荷がかかっていない状態では出血などがないのはさすがのキカイの技術といったところか。
「……なかなか、ままならないなあ。」
in:湯浴み所
ごしごしごし。
あまり幹部を傷つけないように体の汚れを落としてから湯船に向かって。
in:湯浴み所
「だって……仕方ないじゃないか。」
そういうものだもの。なんといってももうすぐ13歳になるという年齢。
探索などで見慣れてるとはいえ、自発的にまくられたまぶしい肌には反応してしまうようだった。
と、話したところでふと湯浴み所のことを思い出して。
「……そういえば手術が終わってからまだ行ってなかったや。
じゃあ、僕はちょっと行ってくるから。」
と、具体的には口にしなかったが湯浴み所に向かって歩んでいった。
in:クラアナ付近
「どうだろ?ヒカルも大きな傷が残らないように結構気を使ってたけれど……。」
しばらく一緒に行ってなかったからな……なんて思い返しながら声の主を二度見。
「……って、また布をめくって……!
もう、全く目線を気にしてないんだもんなあ。」
なんて少し困ったように独り言ちた。
in:クラアナ付近
特定の住処を持たない流れ者。
何とか這いずり回ってその日の糧を得ていた姿からつけられた名前はラスカ(ある言語でのイタチ科を示す)。
現在、いまだにすべての部分が生身。
しかし何度も模造生体を移植した影響で身体能力は以前よりもずいぶんと落ち、
快活さも鳴りを潜めているようだ。
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PL:Arabiki_ushi
※R18やR18Gなど大体のことはオールフリー……かも。