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No.917469040
カーサ
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age:27
sex:female
height:182cm
weight:123kg
Favorite:-
Hate:自分

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「私は価値を見つけたよ」
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iconCuraanaNow

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「そんな、どうして……」

 スクリーンに並ぶ無機質な数字と申し訳程度の粗いポートレート。
 普段なら一瞥して歩き去る日常の景色に過ぎなかったが、その日、視界の端に強い引っ掛かりを覚えて、スクリーンに目を向けた。
 向けて、しまった。

 無情に流れていく死亡通知の中、埋もれるようにして、見知った顔があった。

 理解すると同時に、ザッと血の気の引く音を聞く。
 視界が急速に暗くなり、立っていられなくなり膝をつく。
 吐き気を堪え、荒い呼吸と共に、喉に絡みつく唾を必死に飲み込む。

「なんで――」

 あの時、私のものにすればよかったのか。
 変に考えすぎず、一緒にいてほしいと言っていれば、彼女とまた遊びに行くことができたのだろうか。
 私がもっと踏み込んでいれば、違う結果が待っていたのだろうか――。

 友人を永遠に喪ってしまった痛みに、女は嗚咽を漏らし続けた。

in:死亡者掲載所


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「……うん、そうだな、百年早かった」

 少女の高笑いにつられ、うっすらと笑む。
 不思議な少女だ。
 わたくしの傍らにいるのに沈んでいるなんて許しませんわ、とでもいうかのように、弾けるような笑い声で暗い劣等感を吹き飛ばす。
 高気圧のような少女だ、と女は思った。

「すべてのものに価値がある、か」

 一挙手一投足に値を付けられていたかつては、キカイの役に立たない者は無価値とされ、自分でもその考えを内面化していた。
 委員会を辞した後も、誰かの役に立たなければという強迫観念めいた思いは消えず、そうでなければ自分には価値がないとずっと思ってきた。

 だが、女の手を取った少女の手は暖かくて。
 それ自体が何かの役に立つわけでなかろうと。
 その温もりは、とても"価値"のあるものに思えた。

「……うん、探そう。
 いや、一緒に探してほしい」

 冷えたクロームが、包まれた手の先からゆっくりと熱を帯びていくのを感じながら。

「私の価値、この感情の正体。
 そういうのを、全部」

 しばらくクラアナは閉鎖されるそうだが、関係ない。
 この価値はきっと、アナで見つかるものではないのだから。

in:娯楽区画


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「――っ、そんな、ことは……」

 劣等感を見透かされ、咄嗟に否定の言葉が口を衝いたが、途中で声を詰まらせた。
 本当に違うと言えるのか。
 このか弱い少女ならば、自分でも役に立てると、価値を認めて貰えると、そんな思いが欠けらもなかったと、否定しきれるだろうか。

「……いや、そう、かも知れない。
 私は、あなたに何かしてやることで、劣等感を誤魔化そうとしたの、かも……」

 無自覚な下心を指摘され、女は叱られた子供のように目を伏せた。

 そして。
 卑しい己に比べ、この見窄らしい少女のなんと気高いことか。
 安い優越感を見透かしたまま、体よく強かに利用することもできたろうに、馬鹿にするなと傲岸に言ってみせた。
 生存価値も、職能も、鉄の体も持たない少女が、己よりよほど強い心を持っている。

「……すまない、あなたを、馬鹿にしていたかも知れない……」

 悔いの滲む声で言う。

「だけど、あなたに、何かしてやりたいと思ったことは、本当なんだ……」

in:娯楽区画


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 存在価値を値踏みされ、比べられ、差し引かれ。
 そうしてやっと生きることを許される。
 女にとっては当たり前の営みだった。
 物を買ったら生存価値が減る。
 限りある資源を浪費したのだから、それは当然のことだろう。
 有用性を示して価値を付けなおされることで、私たちは暮らしている。

「……ああ、以前は、生存価値向上委員会に所属していてね。
 治安維持なんかを、主に担当していた」

 ――それしかできることがなかったから。

「こういう店にはよく来てたけど、誰かと来るのは初めてだ」

 ――周りはみんな、私より価値が高かったから。

 ――私は、二級品(チープモデル)だったから。

 少し昔のことを思い出し、食事に挿した匙が止まった。
 が、それもつかの間、気を取り直すように居住まいを正し、食事を再開する。

「クラアナへ潜るなら、誰かとバディを組むべきだ。
 ……相手がいないのなら、私が一緒に潜ってもいい」

 食事を食べ終わり、カチャン、と食器に匙を置く。

「私たちが生存価値を示すには、アナに潜ってシザイを拾ってくるしかないのだから」

in:娯楽区画


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 席に着き注文を通すと、テーブル脇に設えられたチェッカーに手首をかざす。
 軽快な電子音。
 個人に紐づけられた生存価値の引かれる音。

「ああ、以前は、よく来ていた。
 少し前までは、直接付与される生存価値で生活していたから、中央の公認店でないとサービスが受けられなくて……」

 取ってきたシザイを貨幣代わりにするようになったのは探索者になってからだ。
 市民IDに紐づけられていないサービスを受けるのはいまだに苦手だ。
 宿の物理鍵などはいつ無くしてもおかしくないと思っている。

「だけど、誰かと来たのは初めてだ」

 つい最近、初めてできた友人と食事を共にしたが、誰かとこういう店に来るという経験はなかった。

 痛ましい傷を見れば眉根を寄せ、

「……そうか」

 と呟く。

「死んでいないのは、ナノマシンによるレストアだろう。
 軽度であれば、脳の損壊も修復される」

 本当に死んだのであれば、逆に傷は残っていないはずだ。

「……だが、やはり生身で潜るには危険な場所だ。
 誰か一緒に潜れる相手はいないのか?」

 無気力な店員が運んできたカレーに手を付けつつ、聞いた。

in:娯楽区画


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「――参ったな、落としたとすればこの辺りなのだが……」

 女が一人、その長身を小さく丸め、地面を睨みながら歩いている。
                     コフィン・ホテル
 女が探しているのは、彼女が定宿としている《棺桶》のカードキーだ。
 昼間、暴れる少女を抑えた際に落としたのだろうか。
 見つからないと今晩寝る場所に困る上に、職を無くしたばかりの身に弁償代はきついものがある。

「誰かに拾われてしまったのだろうか……」

 厳めしい風貌に似つかわしくない、情けない声が出た。

in:生存価値向上委員会


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 あまりお嬢様らしくないことか、一周回って逆にお嬢様らしいことを叫ぶクララを抱えながら娯楽区画へ移動した。

 猥雑な歓楽街を少女と二人、歩く。
 通りは、露店で焼かれる得体の知れない料理の匂いや娼窟から漏れる淫猥な香の匂い、吐き捨てられた吐瀉物の臭いなどが混ざり合い、ある種異様な生命力に満ちていた。

 通りの中でもメインボード寄りの比較的明るい辺りで少女に応える。

「いや、茶飲み代くらい私が出すが……、
 巻き上げられたって、潜ってきたばかりなのか?
 怪我はないか?」

 あれだけ高笑いしていたことを思えば愚問だろうが。
  アンダー
 《下層》で生きる少女はタフでなければやっていけないのだろう。

「――それで、何を食べるんだ?」
  チ  ク  ロ     ズ   ル   チ   ン
 サイクラミン酸や4-エトキシフェニル尿素で味付けされた駄菓子の屋台が立ち並ぶ一画。
 古めかしい喫茶店からは合成されたわざとらしいコーヒーの香りが漂ってくる。
 女なりに少女が好みそうだと思う区画を選んでみた。
 そのくらいの甲斐性はあるぞ、くらいのことは思っているかもしれない。

in:娯楽区画


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「夢?
 夢があるのか?
 キカイとつがいになることが?」

 ちょっとよく意味が分からない、といった調子で疑問を呈した。

「……ああ、玉の輿、と言っていたな。
 キカイの寵愛を受ければいい生活ができるのは確かだ。
 だが、あれらはニンゲンを生存価値でしか判断しない」

 だからあなたはアナに潜るのだろう、と暴れる少女を、小動もしないクロームの腕で抱えながらそう言葉を落とした。

「行こう。
 何か食べながら潜る算段をつけるという話だったろう」

 そう言って、クララが本気で抵抗しないのであれば、娯楽区画まで少女を引きずっていくだろう。

in:生存価値向上委員会


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「っ、ああ、そうか……」

 咄嗟のことに、つい以前の調子で接してしまった。
 彼女は汚染されて死に、ここにいるのは記憶を引き継がなかった複製体だ。

「ああ、私だ。
 ――迎えに行くと言っただろう。
 こんなところをうろついて……」

 もう少し格好をつけて現れるつもりだったのだが不意を突かれて狼狽えてしまった。

「通信でも言ったが、キカイ……様は生殖をしない。
 見初めるとかそういうことはないので、あまりそういうことを口にしない方がいい」

 特にこの場所では、と燥ぐ少女に声を潜めて忠告した。

in:生存価値向上委員会


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「こっ、クララ、ここは気軽に近づく場所じゃない……!」

 たまたま通りかかった古巣で場違いにはしゃぐ知り合いを見つけ、慌てて止めに駆け寄った。

「妄りなことを言うと『指導』されかねない、別の場所へ行こう、な!」

 娯楽区画で人口甘味なんか買ってやるから、と泡を喰った様子でこの場所から引きはがそうとする。
 無防備な子供を無視するわけにもいかず、さりとて昔の知り合いにでも見つかったら面倒だ。
 キョロキョロと周りを気にしながら必死に少女を説得する。

in:生存価値向上委員会



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チープモデル
"二級品" カーサ

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元生存価値向上委員。
キカイに奉仕するために遺伝子調整を受けてロールアウトされたデザイナーベビー。
優秀な遺伝子を保持し、知能・体技の両面で優れた試験成績を上げていたが、実務に携わるようになり、彼女は挫折に直面する。

プロパガンダ、要機警護、対人交渉、不穏分子暗殺など、凡そ奉機者としてこなすべき業務の全てが不得手だったのだ。
優柔不断で判断が遅く、機微に合わせた気遣いや機転が利かず、できることは無差別な破壊を振りまくことだけ。
ついたあだ名が"二級品(チープ・モデル)"。

キカイからは評価されず、同僚からは侮られ、自分の価値に悩みながらそれでも生存価値向上委員として食らいついてきたが、最近ついに心が折れ、生存価値を大幅に減額されつつ職を辞した。

かくて縛る者もやるべきことを示してくれるものも持たなくなった彼女は、日々の糧と、そして何より自分の生きる意味を求めクラアナへと足を運ぶようになった。


所持品■武装:KISS2RUIN
    成形炸薬弾を射出する、拳銃とは名ばかりの巨大なハンドカノン。
    マーケットの故買屋で見つけた骨董品。
    着弾するとノイマン効果によりメタルジェットが噴出、キカイを内部から破壊する。
    先の大戦で追い詰められた人類の苦慮と悪あがきの結晶。
    貫徹力は非常に高く、厚さ30mmの装甲を突破するポテンシャルがあるが、
    射距離がなく、精度が悪く、弾速が遅いという射撃武器としては致命的な三重苦を患っており、
    結果、超至近距離から撃たねば効力を発揮しないという失敗兵器である。
    故にKISS2RUIN(破滅へのキス)と称された。

■装甲:防弾トレンチコート
    前職の払い下げの品。
    ドラゴンシルクを何層にも重ね合わせ、高い防弾性を実現している。
    旧NATO規格の7.62mm程度ならば払いのけながら前進することが可能。
    尤も下層のキカイの口径や打撃には効果がないことも多いので過信は禁物。

■その他
    防塵マスク、吸収缶×必要分、水筒、ブドウ糖カートリッジ、コンバットライト、メディカルポーチなど



言葉を交わした人〇ディープ・エム
  マーケットで物色中に隣り合う。
  武器や情勢の話なんかをした。
  饒舌になるのは仕事道具だからか、或いは趣味だからか。
  なんにせよ、語れるものがあるのは羨ましい。

〇からっぽ
  自らをからっぽと名乗った人形の少女。
  システムによるマッチングで一時バディ行動を取った。
  喜びの色の強い少女で、話していると不思議と気持ちが緩む。
  思えば、人に笑顔を見せるのなんていつぶりだろうか、すっかり忘れていた気がする。
  自分を人形だと言ったが、エデンでは見たことのないタイプのドールだ。
  どこから来たのかなど、次の機会に聞いてみるのもいいかもしれない。
   あなたの人形になれる、と彼女は言った。
  だが、からっぽの彼女を自分の都合で満たすのはダメだ、と思った。
  そんなのはお為ごかしで、本当のところは責任が怖かっただけなのかも知れない。
  彼女の要望を満たさずに、それでも傍にいて欲しいというのは、
  そちらの方が卑怯な搾取なのかも知れない。
  だけど、彼女を所有したくはなかったんだ。
  私との事も、私以外との事も。
  そう言うのを全部詰め込んで『完成』した彼女と、私は友達になりたいんだ。


〇ノッカー
  鶴嘴を携えた探索者の少年。
  この稼業に慣れていることが伺える。
  義体化もせずクラアナに潜る少年は、彼本人の資質に関わらず、危うく感じる。
  肉の体はあまりに脆い。
  ちょっとしたミスや些細な不運で簡単に命を落とし得る。
  彼のような境遇の子供が無数にいることは知っていたが、
  直接目にするとやはり気にかかってしまう。



PL情報・各種ロール・ログ公開等オールフリー
  地雷とか多分ありません。

・活動時間
  1200~1800(日による)
  2100~0100(日による)
  0100~0400(大体いる)

・その他
  duetでマッチした人はメッセ頂けると気づくと思います。
  また、こちらからもメッセを投げると思います。