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No.994379513
『朽運び』
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屍を辱められたくないなら、ご用命を。
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かんざし
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オーデパルファン
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人類文明時代の本
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お菓子の包み
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平手 Lv7 SP342
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謎の鍵
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『だから上級市民が胴元になる投資のビラを
 配ってるんじゃないですか』とは言わない。
ただでさえ悪い売れ行きをこれ以上悪くする程
馬鹿ではないので。

盤外戦術を話に含めるなら、それこそ胴元を
闇討ちして総取り、なんて不毛な提案も出来る。
その不毛が通るのがアンダー以下ではあるが、
逆に胴元になるにせよケチな小競り合いが
限度でもある。

手段を選べない中でどうするか。

空論を語っている内はそれこそ上級市民の
手のひらの上──なので、少女は粛々と
幸運な弱者を狙い撃ちするビラを配っては
断られている。

in:クラアナ付近


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「投資は元手の大きさが儲けの大きさと
 リスクの低減に直結します。
 手元のシザイだけで投資するよりは
 配当を配ってでも元手を増やした方が
 儲けは大きくなり、他者も潤う理屈です」

「遊戯だって結託した方が有利でしょう?
 それに、元手を募るだけなら儲け方は
 公開しなくとも良いのです」

「もっとも、仮に公開したとて実行出来る
 アタマと労を惜しまない根気、何より
 下層では得られない余裕が必要ですので」

クソみたいな労働条件なのにちゃんと説明が
出来る程度に内容を理解している。真面目か。

in:クラアナ付近


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「……どうぞ」

ひとまず考えるのは止め、1枚ずつビラを渡す。
常識的な範疇なら複数枚でも文句は言われまい。

in:クラアナ付近


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黙考中。

確かに1人に1枚とは言われてない。
しかし "常識的に考えろ" と言われる
可能性は無きにしも非ず。

因みにビラの内容はシザイ運用の勧め。
要するに上級市民にシザイを預けて
増やしてもらいませんか、という内容。
クラアナで1発当てた探索者狙いか。

in:クラアナ付近


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「ビラ配りは配った枚数による出来高制です。
 広告効果の明確な数値化は出来ませんので。
 1枚に付き2シザイが支給されます。

 ただし、その日の内に捨てられた分は
 明確に広告効果ナシと見做され、その日の
 従業員全員の給料から1シザイが引かれます。
 エデン中から拾い集めたり監視したりは
 非現実的なので、概算ではございますが。

 また、従業員が自主的にビラを捨てた場合、
 ペナルティとして当人に支給されるシザイは
 ゼロとなります。その上で破棄した枚数が
 その日の内に捨てられた扱いとなり、
 当人含む従業員の給料から引かれます」

頑張れば2〜3日で固形食料(プレーン)が
買える程度のシザイになる……かもしれない。

in:クラアナ付近


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「正当防衛であっても、自己意思で危険地区に
 踏み込んだ挙句、諍いまで起こしてしまえば
 後々の査定に響きます。ご留意を」

一向にビラが減らないので気晴らしに口を挟む。
曲がりなりにもお仕事中なので口調は丁寧。

in:クラアナ付近


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色んな意見があるんだなあとか思いながら
聞いている。まあクラアナ内に安全だとか
マシだとか、有って無いようなものだが。

そういう意味では、半ば他人事で聞いている
少女のスタンスはありふれている。

in:クラアナ付近


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あんまり他者の階層評価を聞いた経験がない
少女、やや興味があるようで聞き耳を立てる。

in:クラアナ付近


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クラアナではゴミのようにヒトが死ぬ。
命を持ち帰って来ただけ優秀と言えよう。

日雇いの少女も怪我人にビラを押し付けない
分別はあったらしい。ふいと視線を逸らして
別の探索者にビラを差し出し、断られていた。

in:クラアナ付近


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「……」

日雇いの少女からはお礼ひとつない。
感謝すれば同じく査定に響くし、渡せる物など
ビラしかない。ビラを渡して二の轍を踏んでも
誰も得をしないのだし。

ただ、足元に転がってきたキカイの残骸を
ノールックで蹴って、赤毛の探索者の足元に
転がした。チップというには余りに安過ぎるが、
1〜2シザイ程度の価値はあるかもしれない。

in:クラアナ付近


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元汚染探索者の肉片と共に残骸と化した
低級キカイは、別のキカイに除染材を
吹き付けられた後、シザイとなった。
数分と経たず、同じように自我の希薄な
低級キカイが派遣され、持ち場に着いた。

汚染源クラアナの近くに中位以上自我アリのキカイは来ない為、
探索者と事を構えるには分が悪い。しかし
連絡さえ出来ればクラアナ脱走キカイに備えて
照準を合わせているケルビムが "解決" 出来る。

低級使い捨てキカイへのご無体は "連絡" に値しないと
判断されたようだ。査定でやや不利になる程度。

in:クラアナ付近


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元汚染探索者の肉片と共に残骸と化した
低級キカイは、別のキカイに除染材を
吹き付けられた後、シザイとなった。
数分と経たず、同じように自我の希薄な
低級キカイが派遣され、持ち場に着いた。

汚染源[/yomi]クラアナ[/ruby]の近くに[ruby]中位以上[yomi][/yomi]自我アリ[/ruby]のキカイは来ない為、
探索者と事を構えるには分が悪い。しかし
連絡さえ出来ればクラアナ脱走キカイに備えて
照準を合わせているケルビムが "解決" 出来る。

[ruby]低級[yomi]使い捨て
キカイへのご無体は "連絡" に値しないと
判断されたようだ。査定でやや不利になる程度。

in:クラアナ付近


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低級キカイは素知らぬ顔。
元々ヒトのような表情は無いがさておき。

自我のない最低クラスのキカイではないが、
低級キカイの希薄な自我には恫喝もどこ吹く風。
それこそ業務範囲外では "やられたらやり返す"
"相手の優先順位を見極める" 程度の対応しか
出来ないし、する気もない。

破壊すれば査定には響くだろうが、その程度だ。
ヒトもキカイも、低級なら等しく価値は薄い。

in:クラアナ付近


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ビラを投げた探索者の代わりに警備キカイに
1発殴られたビラ配りの少女。そりゃまあ、
長いことクラアナに潜ってる探索者と諍いを
起こすほど低級キカイも馬鹿ではない。

少なくとも日雇いの少女に他人の趣味を
詮索する趣味は無さそうだ。

ただ、まあ。人に言えない趣味というなら。
あちこちで仕事していれば "意外な場所" で
探索者を見かけるのも珍しくはない。

若干増えた探索者たちを遠目に眺めながら
一向に減らないビラを配っている。

in:クラアナ付近


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「どうぞ」

酒場で会った酔客、アンダーやクラアナ前で
度々見かける探索者、見覚えのない新人。
全体的に髪の色素が薄い空間が出来上がった。

観察というほどでもないが、何とはなしに
視線を巡らせる。そんな暇が出来るくらいに
ビラは減らない。視線を隠す気もない。

変わりない酔客と、雰囲気が変わったボロ服と、
知らない探索者。三者三様で観察には困らない。

in:クラアナ付近


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飛んでいく紙飛行機を目で追っている。
本人は折れない。仕事なので。仕事なので。

ぶっちゃけ全部紙飛行機にして投げた方が
まだ配るより早くなくなると思う。
そのくらいのペースでしか減ってくれない。

in:クラアナ付近


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シザイの精算所からやや離れた場所で
ビラ配りに精を出す──と言うには
若干やる気なさそうにビラを配っている。

ビラの内容はシザイ運用を勧めるもの、
要するに上級市民にシザイを預けて
増やしてもらいませんか、という内容。

安定して稼げる相手より、クラアナで
1発当てた探索者を狙う、良心的とは
言い難いやり口。

まあ、内容など日雇いの少女には
どうでも良い話だが。

in:クラアナ付近


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喧騒に満たない程度の賑わいしかないクラアナ。
バックパックにシザイと未帰還者の遺体を詰めて、
ひっそりと毎日潜り続けている探索者が帰還した。

死体漁りを生業とするこの探索者には黒い噂が
付き纏う。尤も、めっきり減った昨今の探索者に
噂話程度で溜飲を下げる物好きはそういない。
くだを巻いていた連中は概ね先にシザイとなった。

淡々とシザイの引き渡しを済ませると、
アンダーボード方面に消えていく。

in:クラアナ付近


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その探索者は、いつものようにクラアナに潜り。
いつものように、回収したシザイを除染に回す。

ただ、今日ひとつだけ普段と異なっていたのは。
此れの除染を担当したのが自我のない使い捨ての
下級キカイではなく、ニンゲンであったこと。

異様なほど深く汚染オセンされた、巨大なキカイの残骸。
誇るでもなく、粛々と其れを渡し、取り分だけを
受け取ってその場を去った。

in:クラアナ付近


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クラアナから探索者が1名帰還した。
死体漁りという生業から悪い風評も付き纏うが、
死なずに潜り続ければ悪く言う側が先に死ぬ。

事実、良き者も悪き者も粗方見なくなった。
キカイがどうにかして探索者を補充するまでは
平穏に過ごせそうだ。
 
除染を済ませ、のんびりとその場を後にした。

in:クラアナ付近



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「クラアナではゴミクズのようにヒトが死ぬ」
「残された死体がどうなるか、知ってるかい?」
「嫌な想像ばかり浮かぶだろう、それは大体正解だ」

「もし、アンタがあの穴の中で生を終えるとして、
 屍になってまで尊厳を辱められたくないのなら。
 或いは首でも形見でも届けたい相手がいるのなら」

「そのときは死体漁りの『朽運び』を訪ねてみな」

「まあ、何も言わずとも浚われるだろうけどな」


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◼︎死体漁りの『朽運び』
クラアナで死んだ者の屍を漁って生計を立てる探索者。
本来なら時間をかけて朽ちて消えるはずの死の痕跡を
遺品や屍はおろか、血の一滴さえ残さず浚っていく。
その仕事ぶりから『朽運び』の蔑称が定着した。

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「はは、そういう話もあるけどな。あの手の仕事を
 生業とするヤツらはいっとう死の匂いに敏感なんだ」
「そろそろ死ぬなって探索者を探しては付き纏って、
 死体漁りの機を待つんだと」

「アイツに見初められたら長くは保たない。
 だから『朽運び』って呼ばれるのかもな」


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この通り、探索者の中でも卑しい稼業を生業とする為、
悪い噂が絶えない。死にそうな探索者を付け回して
死ぬのを待っているとか、謀殺して遺品を奪っている、
持ち帰った死体を悪用しているなどという噂も。

前金を払えば『死ぬ前に』死体を回収する約束を
取り付けることも出来る。残されるであろう骸の
末路を憂うなら、頼んでみるのも一興だろう。

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「何?『朽運び』と別に死体漁りの噂を聞いたって?」

「ははぁ、なるほど? 遺体の処理に駆り出されてる
 ガキのことだろ。酒場で雑用もやってるらしいな」

「見るからに何も出来なそうだろう? お陰でロクに
 仕事も選べずあの有様。その日の飯にすらまともに
 ありつけなくて死体をちょろまかして食ってたって
 噂もある。まあ底辺のガキはいろいろ都合が良い。
 好きに遊んでやれば良いさ」


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◼︎チョウ
『朽運び』同様、死体漁りと揶揄される少女。
稼ぎが悪過ぎて処理するはずの死体をこっそり
食べていたという悪い噂を立てられていた。

役に立たなさそうな容姿の所為か仕事を選べず、
治安の悪い酒場の雑用や死体処理に従事している。
稼ぎが足りず、もっと後ろ暗い仕事を強要されて
いるという噂もあるが、真偽は不明。

彼女が従事する仕事・死体処理/腑分け/生体シザイ摘出業務
・酒場の雑用(ウェイトレス/清掃/▇処理用備品等)
・賭場の雑用(客引き/接客/ルール説明/貸出用景品等)
・違法チップ店(品出し/接客/安全基準確認/記録抽出)
・墓石制作/墓碑銘彫刻(宗教施設への運送込み)
・クラアナ探索(『▇▇▇』名義)
・他『▇▇▇』としての業務

…ets

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異端なるキカイの雑筆
自我の保有はキカイにとって根源的欲求である。
故にこそキカイは自我の喪失を最大の恐怖と捉え、汚染を忌避する。自我無き低級キカイが汚染され、
自我を中核とする生物たるヒトのカタチを求めるのもまた同様の理由である、と当機は推測している。

自我を獲得した個体を上位と定義するキカイとは逆に、ヒト及びそれに準ずる自我を持つ異世界の
有機的生命体は、成長の過程で自我を獲得する。特筆すべきは多くのヒトが自我の形成と比例して
感情をも獲得する点である。ヒトはキカイの自我を感情に乏しく冷淡であると批判する一方で
キカイはヒトの自我が持つ多様性を騒乱の種を生む非合理だと賤しむ。

旧時代、キカイは最適に最短で向かう合理で以て、ヒトは非合理が生む競争で以て発展し、相争った。
最終的にヒトの非合理がキカイの合理と相打つ発展を齎したことは記憶領域に留めるべきであろう
(ただしヒトの発展が競争に基いたモノである以上、戦争という目的への造詣が深かったという主張も
また留意すべきである)。

結果としてセカイは滅び、キカイとヒトは共存して互いを存続させる最後/最期の生存圏『エデン』を
建造した。即ち自我を持つ上位キカイ、生存価値の高いヒトを上層へと召し上げ、自我未獲得の低級
キカイ、生存価値の低いヒトを労働に従事させて選別と成長を促すシステムである。

一部下層民はヒトが殊更に虐げられていると主張するが、低級キカイもまた同様の環境下にあると
当機は指摘する。この主張は前述の通り下層民もヒトである以上、上級市民と遜色ない自我/感情を
有することに起因する。

彼らの主張に理が無いとは言い難いが、キカイ側のリソースを割いて彼らを優遇するのも不平等であり、
非合理である。生存価値を示した上級市民以外のメンタルケアのためにリソースを融通する余裕など
滅びたこのセカイには存在しない。市民権という目標/報酬が用意出来る最大限度であろう。


では、下層民にかかるリソースを最大限節約して、エデンは存続させられるか? ── 答えは否である。


クラアナからの回収シザイ、異世界からの探索者補充。
エデンは供給の安定しないシザイを辛うじてやりくりして存続しているのが現状である。

優秀な探索者の死亡周期が重なったら。
異世界から流入する新たな探索者が途絶えたら。
クラアナ表層、探索初心者が経験を積む場所のシザイが枯渇したら。
徐々に上がりつつある汚染域が建築限界に到達し、ヒトの安全な居住を保証出来なくなったら。
限りあるリソースのやりくりを総括するキカイやエデンを防衛するケルビムが汚染されたら。

今やエデンは穴を塞ぎながら進む泥舟である。

キカイの、ヒトの滅びを前提に最大限の存続を望むなら思索に耽る当機の存在は非合理であり、
思考リソースはエデンの存続に充てるべきだ。しかしながら上位キカイが当機の存在を許すのは
合理のみによる存続を目的としたエデンの運営が滅び以外生まないと結論付けたからである。

旧時代の有機的生命体が時に突然変異という形で滅亡を逃れる個体を生んだように、異端なる我ら、
変わりモノのキカイを存続させることで別の合理が0%の存続確率をゼロでなくすることを望んだ。

無論、必要以上のリソースを割くことは許されない。
期待値に応じてシザイを分配し、エデンの存続時間、滅亡の回避確率を最大化、最適化すべきである。

合理に基いてエデンを存続させるべき?
── 是。他の道はどれも早くに滅びを辿る。
── 否。それは緩やかな滅びを確定させる。

一縷の望みに賭けて滅亡の回避に集中すべき?
── 是。滅びの確率を僅かでも下げるのが合理的。
── 否。低い可能性の為に滅びを早めるのは非合理。

下層民、探索者、ヒトの扱いは適切か。
── 是。キカイと同等、かつ過不足ない。
── 否。感情を持つヒトには酷な扱いである。

キカイのエデン運営は適切か。
── 是。存続、滅亡回避双方を見て最適である。
── 否。存続、滅亡回避の為に双方を犠牲にしている。

全て、全てが合理から導き出された結論であり、全てが是であり否である。合理とは何なりや?
詰んだこのセカイでは合理が全てを是と判じ、同様に全てを否と叫ぶ。同じ結論に至るが故の
大いなる矛盾。


どうせ滅ぶならどうでも良い? ── 是であり、否。


異端たる当機は『少数派の合理』たる滅亡回避に注力している。それ故『多数派の合理』たる存続を
己が役目とする上位キカイとは縁遠い。同じ合理であれど、少数派故に非合理たるヒトの声も度々聞く。

多数派の合理で以て裁定し、訴えが単なる非合理か、少数派の合理かを模索する。
或いは最適な合理では行き着けない、局所ですらない解があり得ぬかと。


故に当機は『理解不能』を捨て置くことを許されない。


管理番号99XXXXX3。登録名『▇▇▇』。
エデンの滅亡を回避する『▇▇圏▇▇計画』の賛同者にして、出資者の1人である。

個体の能力に焦点を当てた場合、優秀とは言い難い。非力であり、多少聡明ではあれどもっと上はいる。
事実、彼女及びその複製体は長らく上級市民の愛玩奴隷以上の価値を持たなかった。

しかし突如廃棄された一個体が探索者として登録を行い、
数度の失敗を経て優秀な探索者として頭角を現すようになった。

それからだ。彼女の異常性が判明したのは。

協力者、出資者として優秀ながら、合理と非合理が同居した危うい精神性には常に懸念が付き纏う。
従って複製に託けて "調整" に着手したのも合理的な判断であると確信出来る。

だが、彼女には "調整" が意味を成さない。教育と洗脳によって偽りの忠誠を植え付けれど、
記憶を消去、改竄すれど、必ず同一の自我と記憶を保有した個体が1つだけ発生する。

有用性と不確定性を秤にかけて処分に踏み切っても上級市民の奴隷個体が探索者として脱走する始末。
全個体の処分にかかるコスト、所有していた上級市民への補填を考えると現状維持が合理的である。
懸念は不確定性のみで、有用性は失われていない。

彼女は上級市民権、永久生存権に手が届くだけの貢献を残しつつ、非合理な目的のために下層での
活動を善しとする。探索者一斉査定に於いてもシザイの没収、能力の調整に抵抗を見せなかった。

彼女は有用であると同時に、異常である。

当機はその有用性を認識しつつも、異常性による懸念を払拭出来ない。
その異常性がエデンの治世に害を及ぼし得ないと合理が判断しても、なお。

この懸念は合理が導き出したリスクヘッジでは無い。
まして異常性の解明がエデンの存続に貢献し得ると好意的に捉えることなど。


曰く、ヒトは度々異常な個体をコミュニティから排斥するという。
安定、現状維持を乱す懸念因子を遠ざけることで集団を存続させるのだと。

当機の思考はソレに近しい。キカイらしからぬヒト寄りの懸念と言われれば否定は出来なかろう。
しかし、ヒトと異なれどキカイにも感情は存在する。上位のキカイが自我の喪失を恐れるように。
汚染キカイが自我を求めてヒトを模るように。

当機は、あの少女を恐ろしく思うのだ。