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No.198 浅香
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age:19
sex:female
height:159cm
weight:51kg
Trend:出来るだけ避ける
Favorite:亡き彼、仲間の笑顔
Hate:クソな企業、主(神)
Comment
「過去に決着を。現在に安息を。そして、未来に福音を」
【Battle_Log】
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名前:永森 浅香(ながもり あさか)

とある教会のシスター。
とは言ってもまだ見習い。
シスターの割に、言動が無神論者で雑。

どうやら自ら進んでシスターの道を歩んだ訳ではないらしい。


彼女は、如何にしてこの島を望んだか




アタシの願いは・・・
アタシの彼を奪った恋敵の、一族郎党への復讐



喜久田 誠。
その人が、アタシの幼馴染で、兄貴分で、恋人だった。

恋人だった・・・って言うのは、少し語弊があるかも知れないけど。




彼って言っても、只の幼馴染で・・・
何の気なしに付き合ってただけなんだけどね。
だけど、アタシは幸せだった。




まこにーちゃーん!


はははっ、なんだよ浅香。
お前、いつまで経っても甘えんぼだな。


だってアタシ、
まこ兄ちゃんの事好きだもん!


おいおい、もうお前だって18だろ?
もう少し周りの目を考えてだな・・・


・・・ダメ?


・・・いや、ダメじゃねぇけどさ・・・
い、いやっ!だからあんまくっ付くなって!
周りの目が・・・だぁかぁらぁ~っ!


幸せだった。

そう。

あの日までは。






でも、後からしゃしゃり出てきたあの女・・・
社長令嬢だか何だか知らないけど、アタシの彼を横から掻っ攫って行ったのよ。



うそ・・・だよね?

嘘だよねまこ兄ちゃん!?


・・・・・・・・・っ

嘘だって言ってよ!
まこ兄ちゃん!!


・・・すまない、浅香。



嫌だ!! やだやだやだぁ!!
まこ兄ちゃぁぁぁぁぁぁん!!




アタシは。

最愛の人を。

この時、失った。

『あなたには跡継ぎになる資格がある』とか何とか難癖を付けて、
あいつは・・・あの女は。


―――あの顔は忘れもしない―――

人を見下したような目つき。

どこまでも尊大な物言い。

人を食ったような態度。


『全ての男はワタクシに傅くべきなんですのよ』・・・だぁ?

ふざけてるにも程がある。





高校も卒業して、これから専門学校って時に。
あの女・・・
アタシの力が足りなかったのかも知れないけど、それでも彼が好きだった。
でも、あの女と関わってから・・・彼は変わってしまった。
見るからにやつれて、やせ細って・・・






遂には、首を吊ったわ。



浅香・・・
落ち着いて、聞いて欲しい。


・・・何? 父さん。


あ、ああ・・・
誠くんが・・・





びしり

、と


世界にひびが、入ったようにも感じた。

あの直後から、アタシはどれだけの間

発狂したように叫び続けたのか

それだけは覚えていない。


その後・・・





アタシは泣いたわ。三日三晩泣いた。
でもあの女は・・・それすら意に介した様子も無く!

後から聞いた話だけど、その女・・・
何人もの男を不幸にしたって言う地雷女だったそうよ






アタシはそいつを糾弾しようとした。
でも、ダメだった

あろう事か、アタシの親にその前に教会へ無理やり預けられてしまったのよ!
オマケに親子の縁まで切られて!
勤め先が、あの女の親が経営する会社だったってだけで・・・っ



そう

だから

アタシは


彼を


まこ兄ちゃんを


死に追いやった


あの一族に



・・・それだけじゃない


アタシを見捨てた



アタシの家族に



復讐を






交流録

13:アキちゃん。舞ちゃんの名コンビ。舞ちゃんを支えてあげてね。

16:舞ちゃん。かなりの人気者。同病相憐れむって言うのかしら、すっかり仲良くなれたわ。

48:ヒルフェ君。・・・独占欲の強さにはビックリしたわ。

49:アンズちゃん。・・・貴女、何でもかんでも抱え込み過ぎよ・・・

73:卓小僧。Fxxkな話に興じてる時にちょいと脅したら、大人しくなってくれた。よーしよし。

79:アサヒ君。舞ちゃんの事、よろしく頼むわね。

81:ももちゃん。47連勤の限界社畜っ子。あのサイズは流石のアタシでも圧倒されたわ。

126:ナカバ。下ネタ小僧。下手な事言ったら、その股座腐れ落とすから。




異能名:J・F・C(ジーザス・ファッキン・クライスト)

一帯を汚染地帯へと変えてしまう、汚泥を発する異能。



而して、汚泥の修道女は帰還せり


・・・・・・

・・・次のニュースです。

若松建設グループ創業者一家変死事件の続報です。

きょう未明、先日亡くなった社長の若松隆三さんの長女、若松玲央奈さん(20)が、

東京都内の路上で死亡しているのを発見されました。

被害者は、猛毒性の泥を全身に浴びており、以前の犯行と手口が似ている事から、

警察は同一犯の可能性と見て調べを進めています・・・

・・・・・・







<とある墓地で>


あの島から帰って来て、2週間が過ぎた。



アタシは、今。

まこ兄ちゃんの墓の前にいる。

目をつむって。

一言も発さずただ。

手を合せている。



まこ兄ちゃん。

アタシ、仇を討ったよ。

これは、アタシの自己満足かも知れないけど。

これで、アタシもまこ兄ちゃんも。

やっとあの女と会社の呪縛から解き放たれるから。



「・・・あ、浅香、ちゃん?」

初老の女性の声。だけど、アタシが聞き覚えのある声だ。

「・・・久しぶり、おばさん」

振り返り、アタシは応える。
おばさん。まこ兄ちゃんのお母さん。

「浅香ちゃん・・・誠の墓参りに、来てくれたのね」

「ええ」

短く、そう答える。

「・・・ごめんなさいね、誠もあんなのに目を付けられなければ・・・
浅香ちゃんと、結ばれたかも知れないのに」

「ううん、おばさんが悪いんじゃないわ。
かと言って、まこ兄ちゃんが悪いわけでもない。
悪いのは、先日ニュースになってたアイツよ。
因果応報、じゃないかしら。
アイツって男を不幸にするって噂だし、どうせ怨みでも買ったんじゃない?」

「・・・そんな酷い女性だったのかしら」

「そうみたい。アタシも話でしか聞いてないけど」



ごめんなさい、おばさん。

嘘をついた。

あの女を殺したのは、アタシだから。



島から持ち帰った異能で汚泥の中に足を滑らせ、じわじわと効いて来る毒で泡を吹きながら痙攣し、もがき苦しみながらも一言も発せずに血を吐き、そしてアイツは事切れた。

呆気無い。

こんなのが、アタシの憎悪の対象だったのか。

それが、アタシの感想だった。



「・・・おばさん」

「・・・? どうしたの浅香ちゃん」

「アタシ、ここを出ようと思うの」

「・・・そう」


おばさんは、何処か寂しそうだけど。

でもどこか、ホッとしたようでもあった。


「・・・浅香ちゃんがここを離れるのは、確かに寂しいわね。
でも・・・私は、いつまでも貴女が誠の事に縛られているのも良くはないと思うわ。
浅香ちゃんも・・・もう、誠の事は忘れて暮らすべきなのよね」

「・・・おばさん、アタシ・・・
まこ兄ちゃんの事を忘れるつもりは無いわ。
でも、まこ兄ちゃんにずっと引きずられるわけじゃない。
まこ兄ちゃんとの思い出は胸に抱えて、一緒に持って行くわ」

「浅香ちゃん・・・
・・・そうね、それなら誠も喜ぶわ」



おばさんの頬を、涙が伝う。

でもどこか、憑き物が落ちたような顔でもあった。

おばさんも、どこかでまこ兄ちゃんの事を引きずってたのかも知れない。



「浅香ちゃんも、強く生きてくのよ。
お父さんもお母さんも・・・交通事故に巻き込まれて、亡くなっちゃったけど」

「・・・うん。
アタシは行けなくて、死に目には会えなかった。
でも、心配しないで。アタシだって、もう19なんだから。
自分の事は、自分で決めるわ」



これは本当だ。

アタシが島でサバイバルしている間に、夫婦揃って逆走車が絡む交通事故に巻き込まれ、主の御許へと旅立ったらしい。

残念と思う反面、何処かホッとしている自分がいる。

肉親に手を下すのは、やっぱり良い気はしないのかもね・・・






<教会で>


「・・・神父様・・・」

「・・・永森さん」




神父さんの執務室に、アタシは立っている。

神父さんは、書類と向き合っている。



「私は、両親の死と向き合う事が出来なかった、愚か者です・・・」

「永森さん、自身を卑下する事はありません」


神父さんは、優しく諭す。


「永森さん、貴方は自らの意思ではなく、御両親の意向で以てこの教会にやって来ました。
ですが、貴方はもう御両親の軛に縛られる事は無くなったのです」

「・・・神父様、それは・・・つまり」

「はい。これから貴方は、自らの意思で生き、自らの足で以て歩むべきなのです。
私が教えを説く時間は、もう終わりました」


つまり、破門を言い渡されたのだ。

アタシは、シスターではなくなった。


「永森さん・・・
人には、必ず試練の時が訪れるはずです。
ですが貴方は、先の行方不明となった間に多くの事を学んできたようだ。
それは、私には計り知れない濃密な体験である事でしょう。
であれば、その経験を決して忘れる事無く・・・歩み続けなさい」

「神父様・・・・・・はい!」


アタシは、大きく頷いた。

破門を言い渡す事で、アタシを再び広い世界へと返すと言う事だった。

何も話さなくても、多分神父さんは送り出してくれるのだろう。


「お世話に、なりました」

「はい。
では永森さん、最後の挨拶を致しましょう」

「はい」


互いに、十字を切る。


「父と精霊と子の御名に於いて」

『Amen』









<そして、車中で>



アタシは今。

新幹線の席に座っている。



家も引き払い、家財も引き取ってもらって。

片付かないものは、片っ端からフリマとかで売っ払った。

アタシが見繕った最低限の荷物だけで、今ここにいる。

荷棚には、大きなトランクが1つ。

着替えだけでも意外と嵩張ってしまった。

早いトコ舞ちゃんに連絡を取らないと、宿に滞在しているだけで足が出てしまう。

そんなこんなで色々とこの先の勘定を始めたが、十秒足らずでやめた。

頭がこんがらがってしまう。



異能についてだが。

十分コントロール出来るようになって、漏らす事も無くなった。

とは言え、トイレの頻度は上がったけど。

流れたものは、もう正直浄水場の浄化力に頼るしかない。




謂わば今のアタシは、本当の意味での自由だ。

これから先の人生は、アタシ自身で決めるんだ。

そう言う意味であの島での経験は、少なからずアタシの骨子になって行くだろう。



大阪に着くまで、あと3時間半。

今、小田原につく頃だ。

指定席を安く買えるプランを探してみたけど、結局こだましか無くて今に至る。

周りを見渡してみても、アタシの他に同じ号車の乗客はいない。

とは言え、せっかくの指定席だ。

どうせ最後までアタシしかいないだろう。

それなら、一眠りしよう。




新たな未来を信じ、今ひとときの微睡みに。

アタシは、その身を委ねた。





PL向け:ログ公開、エログロ、3Lでも何でもOK。