生徒からは『ハルセン』と呼ばれている。
私立××学院の教師
科目は中学数学 専攻は物理
見えづらいが喉元に真一文字の傷跡がある。
*
「うちは、とーちゃんに必要とされてて、 うれしかった」
肩口に覆い被さる、痛みは一瞬で燃え広がるようだった、
そのまま力づくに引き倒されて、骨が折れる音。
「ポチって犬が、うちが8つの時に死んだっす。とーちゃんが、酔っ払って瓶でぶったから」
爪が腹にかけられて、『中身』が動く感触、
痛みよりも腹の軽くなる感覚が不気味だった。
「でも、うちは、できそこないの犬だったから、人間の子供をいじめてるって、とーちゃんはしかられて」
すごい声がして、自分の悲鳴だと気付く、
それでも、ハルの言葉は不思議と聞き漏らさなかった。
「うちは、ばーちゃんの家にひきとられる事になったっす」
視界が揺れ、逆さまになり、地面がぶつかってくる、
左足が弾けたみたいに熱くなり、身体がふわりと浮いた
「だから、ばーちゃんちを逃げ出して、 歩いて、歩いて、迷子になって」
それから、真っ暗な穴のような口が――
「だいすきっす、ハルキちゃん」
――電話の音で目を醒ます。
呼吸は酷く乱れていた。
びっしょりと汗で濡れている――いや、それだけじゃない。
酷い臭いがする――腐った死体の臭い。
『……はい、はい。そうです。春日川春希と言います。
住所は――。はい、間違いなく、僕が書きました。
込み入っているので、電話ではお伝えづらいお話ですので、向かいます。
井上ハルさんですよね。大丈夫です。承知しています。
ああ、うちに。はい、そのまま待機しています。
はい、はい――』
*
背景情報:
小さい頃合唱をやっていた。ボーイソプラノで評価され、いくつか賞を受賞した経験がある。
積極的に弱者を保護しようとする傾向がある。
諸々
基本的にだいたい大丈夫だと思います。ログとかの公開も大丈夫です。フタハナについてあんまりよくわかってないです。